ABOUT
今月2月25日(土曜)まで、色彩をテーマに制作を続ける松田静心氏の個展『黄の衝動 Yellow Impulse』を開催しております。衝動性としなやかさ、メタファーとしての心の幸せと安泰・・・。様々なイメージを併せ持つ「黄」の世界を、故郷・鹿児島の桜島火山灰を用いて表現する平面作品を中心に、今回は松田氏が25年以上携わっている書籍・CD 等のイラストやデザインの装幀作品や立体作品も展示しております。皆様のお越しをお待ちしております。
Artist Statement
イエローというと、なぜか最初に キ(気= 黄)印という言葉が浮かんでくる。
気がふれている、気が違っている、と言う意味で使われていて、明るさやポジティヴさとは程遠い。
一説では、ゴッホの黄色のイメージと本人の壮絶な最期、生涯が重なったことがその一因らし
い・・・。
一方、太陽や菜の花、ひまわりと言ったカラーイメージはポジティブだ。
光を色で表す時(特に昼間光)はイエローで描く場合が多いし、ゴールド(黄金)を表す色彩も
世界的にイエローだ。
とは言え、今回の作品テーマがなぜイエローかと言うと、色彩をテーマに続けてきた中で、唯一
主役では登場させていなかったからだ。
助演ではいつもいい役を演じてくれていたのだが、中々主役にする場がなかったのだ。
意図通りイエローだけの作品で会場の壁面を埋め尽くせたら。内面的にはどこか衝動性を孕ん
でいて、ちょっと見たことない今までに感じたことのない空間にならないだろうか。それに、ちょっ
と衝撃的かもしれない。
“Impulse” インパルスは、衝撃、衝動の他、神経繊維の中を伝わる活動電位。神経衝撃。落雷
の際の衝撃電流、などの意味を持っている。
航空自衛隊のアクロバット飛行チーム「Blur Impulse ブルーインパルス」は、先の東京オリンピッ
クの開会式で東京の空に五輪マークを描いて、世界の度肝を抜いた。アニメ「科学忍者隊ガッチャ
マン」では謎の飛行チーム「Red Impulse レッドインパルス」が突如現れ、危機に瀕したガッチャ
マンを救ったりする。いずれも、色のイメージも合せ持って衝撃的なのだ。
単独の色彩としてのイエローには強い印象はほとんどない。どちらかと言えば控え気味なのだ
が、エネルギーと強さを秘めて、かつ、しなやかさや暖かさを併せ持っている。そして実は、メ
タファーとしての心の幸せと安泰とも言える、そのイエローによる衝撃、あるは衝動。
とまあ、ここまでは作者本人の意図。だが、結局のところどんなイマジネーションを持ってい
ただけるのか、或はそうではないのか。作品にタイトルをつけないのも、見る方に無意識の制約
を持たせないためなのだから、作品の是非の行方は見ていただいた方に委ねるのが常套か。
アート フォー ソートでの初展示ということもあり、イエローの作品の他に、25 年以上携わって
いる書籍・CD 等のカバーイラストとデザイン担当作品の一部と、立体作品も今回初出展した。
立体作品は装幀用のCGイラストとして制作していた2D作品のイメージを3D化したもの。ゴー
ルドに彩色した理由は、今回のテーマであるイエローに則したからだ。それに、立体作品までイ
エローにしたらちょっとつまらないではないか・・・。
如何にしろ、自由にイマジネーションを広いげていただければ最良なのだが。