ミヤザキケンスケ 絵本「Over the Wall」原画展

ミヤザキケンスケ

絵本「Over the Wall」原画展

2024.02.15 - 2024.02.24
11:00 -19:00 (Closes at 17:00 on Saturdays)
*Closed on Feb 18 & 19

ABOUT

ART FOR THOUGHT(アートフォーソート)ではミヤザキケンスケによる、”絵本「Over the Wall」原画展”を開催します。

これまでミヤザキが世界中で描いてきた壁画の原画展となる本展は、東京書籍から絵本として出版される予定です。世界平和を求める表現の原石を、ぜひご覧ください。

ARTIST STATEMENT

世界中で現地の人と一緒に壁画を残す活動を始めて10年以上が経ちます。これまでケニアのスラム街や、エクアドルの女性刑務所、パキスタンの小児病棟など、普段関わることの少ない人たちと協力し合いながらで多くの作品を残してきました。人種や宗教、文化が違う人々でも共同制作を続けるうちに絆が生まれ、仲間になっていく過程が面白く、壁画を軸にこれまで活動してきました。

私の絵のテーマは「Super happy」です。ネガティブなことは一切描かない、見た瞬間に幸せになれる100% Happyな絵を描くことを信条としています。しかし世の中「Happy」だけでは片付けられない問題もあります。

実際に2017年にウクライナに描いた壁画は、ロシアの軍事侵攻で破壊されてしまいました。平和をテーマに避難民と描いた壁画が破壊されてしまった衝撃は大きく、しばらくは呆然と時を過ごしました。しかし破壊されたら何度でも描けばいい、いつかもう一度ウクライナで壁画を描くのが私の目標になっています。

今回はそんな私の壁画プロジェクト「Over the Wall」を絵本出版することになり、その原画を展示いたします。

 

書籍概要

世界中を飛びまわるツバメのサミー。彼には、ヒロシという石巻に住む人間の友だちがいます。石巻には「Over the Wall」プロジェクトで作成した壁画のひとつがあり、その絵の中にいるクジラのウィニーから、サミーは世界中にある壁画の中の友だちを紹介されます。サミーは世界中を旅し、エクアドルではハチドリのタイニーと出会い、刑務所にいる貧しさ故に法を犯した悲しい囚人のエピソードを聞きます。絵の中の花は、蜜を飲むことはできないけれど、人々の心のなかに花を咲かせることができると伝えられます。東ティモールではワニのフェリックスと出会い、太陽の大切さや、太陽が人々に生命を与えていることを教わります。命を守る象徴として、病院の壁に太陽が描かれていることを知りました。次にサミーはウクライナへ飛びます。そこにはカモメのキラがいて、ウクライナに伝わる昔話、旅人が落とした手袋の中で色んな動物が温まり、そのぬくもりが平和をつくり出すという話を聞きます。

サミーは石巻に戻りウィニーと話します。ウィニーからここにもかつて大きな津波があったことを聞き、自然も時に牙をむくことを知ります。ヒロシはサミーから世界中の壁画の話を聞き、スケッチブックに花やハチドリやワニを描きます。そこにほかのツバメがやってきて、ウクライナで戦争が起こっていることを伝えます。ウクライナの壁画は破損し、手袋の中の動物たちはいなくなったように見えます。動物たちは途方に暮れ、ハチドリのタイニーはせめてものできることとして、ひとしずくの水を口に含み、戦火を消そうとします。

翼を持たないヒロシは自分には何も出来ない、と途方に暮れます。しかしツバメのサミーがヒロシにはなった言葉とは――。

BIOGRAPHY

1978年佐賀市生まれ。筑波大学修士課程芸術研究科を修了後、渡英、Super Happyをテーマに制作。世界中で壁画を残す活動 “Over the Wall”を主宰し、ケニアのスラム街(2015)、東ティモールの国立病院(2016)、ウクライナでのUNHCRとの共同制作(2017)、エクアドルの女性刑務所(2018)等の活動を行う。本個展ではこれまでの活動をまとめた、2024年6月刊行予定の英語絵本『Over the Wall』(東京書籍)の原画作品を出版前に発表予定。

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