ABOUT
ART FOR THOUGHT(アートフォーソート)では、2023年9 月6日~9月17日まで、メリッサ・フィンケンバイナー個展「 Elements of Nature Between Skyscrapers 」 を開催いたします。
様々な国の生活・文化に触れることで研ぎ澄まされた感性で、東京の自然を切り取るアメリカ人アーティスト、メリッサ・フィンケンバイナー。サステナブルな素材によって、都会の中に息づく自然を有機的なインスタレーションとして再構築した彼女の展示は、私たちにどんな気づきを与えてくれるでしょうか。
そんな作品世界を体感しに、ぜひお越しください。
ARTIST STATEMENT
10年以上にわたって海外で生活している私にとって故郷と呼べるのは、東京のような大都市とは比較にならないほど小さな、アメリカ郊外の広い田畑に囲まれた町です。
2020年に引っ越してきたときの東京は高層ビルと強烈なエネルギーに満ちた大都市でしたが、そんな街並みでも自然の静けさに出会うことができ、尊いものを感じました。
そびえ立つ近未来的な建築の中にある、伝統的で大きな日本庭園を散策するのも、近所の小さな神社や公園を散策するのも、私は好きです。住んでいるアパートのすぐ近くには、ヒキガエル、鯉、夏の昆虫、そして時折白鷺がいる、趣のある庭園があります。私はこれらの生き物と、大地、水、火、風、さらには虚空との関係性に魅了されています。これらの場所とそれらが生み出す平和なエネルギーにより、私は、アクティブな東京という街で自分を取り戻すことができます。
アーティストとして、このような自然を題材とすることで自然への敬意を示し、自然環境に良い影響を与えるために持続可能な素材やリサイクル素材を優先させたいと考えました。今回の取り組みは、鯉は水中に生まれながら冬を越すために土に埋まり、ヒキガエルは水から生まれて土に還るという想像から始まりました。白鷺は水の中で餌を食べ、そして風に舞い上がる。風に乗って聞こえるセミの鳴き声は、夏の暑さを思い出させ、ホタルは視覚的な炎で輝きます。
サステナブルな製法で作られた紙や、廃棄される運命だったガラスやタイルにいたるまで、あらゆるものを使うのが私の創作方法であり、創作する理由です。インスタレーションは、私が自然における小さな出来事を通じて感じたことを共有するために、より体験的な環境を作り出しています。一方でこれらは、ライフサイクルの一環として、個々の小さなアートピースに解体することもできます。インクを紙やその他のリサイクル素材と組み合わせることで、自然の要素に対するユニークな見解を提示し、素材が地球に与える影響について考えるきっかけになればと思っています。