ABOUT
ART FOR THOUGHT(アートフォーソート)では関戸勇「色菜色果(しきさいいろか)」展を開催します。
新作となる野菜・果物を幻想的な色彩とアレンジで表現した作品世界を、ぜひご堪能ください。
ARTIST STATEMENT
石ころであれ木片であれ、目に止まり気になったら先ずその場で撮り、そして持ち帰りすぐに撮るか、しばらく置きっぱなしにしておいて、いつか撮りたくなった時に撮る。
野菜や果物も同じようなものだ。撮りたいと思えばテーブルの上で先ず撮る。それから撮影台をセットしてそこに置いて眺める。すぐ撮る時もしばらく眺めている時もある。
ライティングもするが、外光を利用して撮ることが多いので、太陽まかせでのんびり見ていて、良い感じの時にさっと撮る。撮る時間はあっという間だがモデル達は我慢を強いられる。葉物は萎れるのでぱっと撮る。考えていても良い写真は撮れない。ぱっと見てぱっと撮る。
野菜や果物の中には、朽ちていく時に命を感じるものがあって、そういうものも時に撮ることがある。路上に踏みつけられた虫などを見つけると、そうしたものも撮りたくなり屈み込んで撮る。
とにかく、目に飛び込んで来るもの、気になったものは撮る。そんな色々なものの中から今回は、新鮮なうちに観ていただきたい野菜と果物を選んで展示し観て頂くこととしました。
CURATOR'S STATEMENT
私に展示を説明する際、関戸は「絵画的な作品にしたかった」と何度か語った。その言葉通り写真たちは、写実的な色合いと光沢感のあるプリントを避け、幻想的なアングルと色彩、そしてプリント紙のテクスチャーによって”絵画的”な野菜へと結実されている。
だがいっぽうで、このビビッドな色彩と大胆な構図はさながらインスタグラムの投稿を見ているようで、SNSにまみれた生活を送る私にはこれが極めて”写真的”にも見えた。採られた後に熟れては萎びていく実在の野菜は、逆に写真のなかでは鮮やかさを増していく。関戸の作品が、現実と作品、絵画的と写真的との行き来を、見る人に楽しませてくれているのかもしれない。
キュレーター・田尾圭一郎