ABOUT
ART FOR THOUGHT(アートフォーソート)では、年内最後の展示として、佐々木卓也「野に放たれる──」展を開催します
力強いタッチで表情豊かな動物の仕草を描いてきた佐々木による、2023年に描き下ろした新作の展示です。
2023年12月から2024年1月にまたがって開催される本展では、クリスマスになぞらえたトナカイと、辰年の2024年になぞらえた龍の作品も発表します。ぜひご高覧ください。
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※12月16日(土)14:00 – 16:00に作家同席のレセプションを行います。
皆さまお気軽にご参加ください。
ARTIST INTRODUCTION
檻から野に放たれる──。多様性の時代と謳われ、私たちは“成功”や”裕福”を目指さなくても、一人ひとり自分らしく生きるのであればよくなった。だがそこに、違和感を感じなくもない。それは「いまのままでいい」と努力を放棄することとも「他人は関係ない」と利己的になることともちがうはずだ。私たちは紋切型の”成功”といった価値感から解放され、安住の動物園から野に放たれてしまった。平和な草食か刺激に満ちた肉食か、群れで助け合うか独りで軽やかに生きるか。私たちは一つひとつ生き方の判断を迫られることになった。畢竟、多様性の時代とは、厳しいサバンナへの解放も指すのだ。
パンダ、ライオン、ネコ、キリン、ペンギン……佐々木の描く動物はどれも、迷いのない滑らかなタッチで描かれ、まるで感情や性格を表しているかのような背景色を有している。その一枚一枚の力強さからは、動物を次々に檻から野へと放つ佐々木の生きる姿が感じられた。今回の展示では、壁一面に動物の絵を掛けようと思う。鑑賞する一人ひとりに、どの動物のような生き方を自分に重ね選ぶのか、問うていきたい。あなたもまた、野に放たれようとしているのだ。
キュレーター:田尾圭一郎