ABOUT
ART FOR THOUGHT (アートフォーソート)では、2023 年7 月14 日~8月26 日まで、和紙作家・山浦のどか個展「ゆれて、ひかり、おどる、きおく。」 -the foundry シリーズ-を開催いたします。
徳島で豊かな自然の光に囲まれながら、山浦は和紙工房で制作を続けてきました。デジタルデバイスやネオンサイン--人工的な光が溢れる私たちの暮らしに、和紙によるやわらかな光は、どのように生命感あふれる影を映し出すのでしょうか。
ギャラリーのリニューアル後初となる本展で、清涼な光と影をお楽しみください。
ARTIST STATEMENT
光を観る時に、人は何を想うのでしょう。
2020 年の春先。コロナウイルスが流行する直前に、阿波和紙との偶然的な出会いがあり拠点を東京から徳島へと移しました。和紙を漉くには清らかな水と豊富な山の資源が必要不可欠です。県内には大きな吉野川が流れ、そこから分岐する川田川の水によって作られる和紙は自然の光を浴びて育った木々や、反射して煌めく水面などの背景を通し素材自体にあたたかな恵みの光を連想させます。
日頃から川に脚を運び、近くの山を散策しては和紙と同じように自分にも光を注いできたこの3 年間。自ずと作品制作に於いて自然由来のモチーフやシーンを選択するようになりました。
しかし、日常の中で私の心が動く光はきらきらと特別に輝き、まるで手が届くようで届かない宝石に恋い焦がれ、ずっと眺めていたくなる憧れのような非日常的なものに想うのです。この光に対する感覚を可視化するべく表現に挑んでいます。
また、「光があるから影が見え、影があるから光が観えてくる。」この対の仕組みにおける関心が、作品構成に用いられる色彩の濃淡、そして紙の厚みや重なり合いから新たな光の現象をもたらしてくれます。